1 ハラスメントの増加
近年、職場における「いじめ・嫌がらせ」や「パワハラ」「セクハラ」といったハラスメントに関する相談件数は増加の一途をたどっています。たとえば、全国の都道府県の労働局に寄せられる「いじめ・嫌がらせ」に関する相談は、平成16年度には約6,600件であったのがその後急速に増加し、平成25年度には約59,000件に達しております。私も、現在は担当しておりませんが、弁護士会の法律相談センターで「労働相談」を担当していた時期、相談件数で大きな比率を占めていたのがこの「ハラスメント」系の相談でした。このような相談が激増している理由はさまざまな原因が考えられるところであり、企業競争の激化の中での個々の従業員に対するプレッシャーの高まり(ストレスの増加)、職場内でのコミュニケーションの希薄化、問題解決能力の低下といった事情も指摘されておりますが、昔ならば許された(かもしれない)“厳しい指導”や女性に対する“スキンシップ”といった言動が、今や許されない場合が増えているということも背景事情の一つであると考えられます。