このところ、労働問題に関する若干“重たい”テーマが続いておりましたので、この辺で小休止し、今回は、法諺(「ほうげん」と読みます)についてお書きしたいと思います(労働問題に関する連載を止めた訳ではありませんので、次回以降引き続きご覧下さい。)。
法諺の「諺」は、訓読みすれば「ことわざ」ですが、ことわざとは、ご承知のとおり、人生に関する教訓やものの道理を短いフレーズで言い表した表現であって、皆様も、好きなことわざの一つや二つはお有りかと思います。この「諺」に「法」が冠せられていますから、「法諺」とは、要するに、法律に関する「ことわざ」「格言」のことです。
現在わが国に存在する数々の法律は、明治以降整備されてきたものですが、当時は、ヨーロッパ諸国(主に英国、ドイツ、フランス等)の法律を参考にして制定され、戦後は現行憲法を始め米国の影響も受けて発展してきました。加えて、法律は、外国の法制に由来しつつも日本古来の法(江戸時代以前の法)の精神に立脚した条文も多く存在し、これらの事情から、法律の条文の趣旨を端的に言い表す表現として、欧米諸国で発展した思想やわが国古来の思想を背景とした「法諺」が数多くあります。今日はその一部を以下にご紹介したいと思います。