ニューヨークエッセイ
ニューヨークにいると周囲の人間から見て私は「日本人の」という代名詞が付き、私自身も他者との違いを自分の中の「日本文化」として言いくるめる傾向があります。同時に、最近は日本にいると私には「アメリカから来た」という代名詞が付くようになり、自分がより一層強く感じるようになった日本人であるという自覚と反比例して日本人社会から少し距離を置かれるようになりました。私はどんどんアメリカ人でもなく、かといって日本人でもないような、中性になっていくようです。何にも属さない自由と孤独の中で頼りになるのは自分の身体一つであり、それが随分日本社会から離れてアメリカ社会を受け入れていることに気がつきました。私の身体は日本にいた頃と少し違った反応をしています。