ニューヨークエッセイ
私が照明デザイナーとして関わった最近の舞台作品のうちの3作品で、美術デザイナーがテクニカル・リハーサル(テック)に不在でした。彼らの不在にはやむを得ない理由があり、プロダクションも同意の上でしたが、それらの公演は視覚的に良い結果を残したと言えないのでは、というのが私の感想です。このことは、舞台芸術家は自身が制作現場に立ち会えない作品を引き受けるべきではないという理想に対して、米国舞台芸術産業がデザイナーに充分な報酬を与えないために、デザイナーは複数の作品を掛け持ちせざるを得ない現実が、浮き彫りとなっているのではないでしょうか。