ニューヨークエッセイ
「常識」という概念がどれほど掴みどころのない不確かなものか、日本の国境を跨いで気が付いたことの1つです。多種多様な民族が混在して暮らしているニューヨークでは、自身の「あたりまえ」を相手に求める習慣はなく、むしろ個々の違いを興味深いと感じる人が多いように見受けられます。したがって、言葉に変換された情報に頼る傾向があり、一つ一つ主張しなければ相手の理解は期待できません。ニューヨークでは、前例のない新しいアイディアや人材が生かされる可能性を持ち合わせているがゆえに、「常識」を定義できず、自分の要求や成果を直接的かつ明確に伝えることが結果を生むようです。