ニューヨークエッセイ
打ち合わせと劇場下見で訪れたマイアミから週末の夜に帰ってくると、ニューヨークの家は一変していました。私がマイアミへ発った直後に春の大雪がニューヨークを襲い、大家さんは「来週水曜日まで停電かもしれない」と言っています。マイアミでの打ち合わせに間に合う飛行機に乗るため、午前3時に家を出たとき、ちょうど雨が雪に変わり始めていました。前日の郵便物が入ったままだった郵便受けをちらりと見たけれど飛行場に行くほうに気をとられ、帰ってから受け取ろう、とほったらかしにした郵便物は、倒れた木が直撃して郵便受けから飛び出し、びしょぬれになって雪に埋もれていました。翌朝、明るくなってから窓の外を見ると、つい2、3日前まで立っていた木々が何本もなぎ倒されています。春の嵐をたまたま回避して、こうして今も生きていることは偶然なのかもしれない、と感じています。