1 はじめに
今月からしばらくの間、相続の話を取り上げたいと思います。
人の一生の中で、法律が大きく関係したり、場合によっては弁護士と会ったりする場面はそうそう多くあるものではありませんが、ご親族の方が亡くなって財産関係を処理する際に、避けは通れないのがこの「相続」という問題です。通常であれば、遺産をもらう権利のある人(相続人など)同士で遺産の分け方について話し合いを行い、登記の移転や預貯金の解約などの処理が問題なく行われて、財産の承継が行われることとなります。もっとも、スムーズに処理が終了せず、相続人間の積年の感情が爆発したりするなどして、紛争に発展するケースも良くあり、近年はこの相続に関する紛争が増加している印象があります。実際、相続に関する紛争を取り扱う家庭裁判所の事件数は、高止まりの状況にあります(私は、仕事柄、裁判所には良く行きますが、家庭裁判所はいつも混み合っている印象です)。まさに「相続」による「争族」化です。