1 はじめに
これまでコロナ禍の労務対応について解説をして参りました。本コラムの執筆時点(2021年11月)では、理由の詳細は不明であるものの新規感染者数は劇的に減少しています。このままコロナ禍が順調に収束していくことを願うばかりですが、感染予防のための諸施策はまだ当面の間は継続されるものと予想されるところです。
今月号からは、話題を転じて、フリーランスをめぐる法律問題について解説をしていきます。これまでも、コロナ禍における労務対応をはじめ、労働問題に関するコラムを随時掲載してきました。ただ、労働問題に関する法的規制(労働基準法、労働契約法、労災保険法等)は、基本的には、会社(使用者)と従業員(労働者)間の法律関係を規律するものであり、従業員ではないフリーランスの方々とフリーランスに仕事を出す者との間の法律関係を規律するものではありません。
しかし、そもそも、「フリーランス」とは法的にはどのような意味をもつものなのか、「フリーランス」には、いっさい、法的規制は及ばないのか(何らの法的保護も受けないのか)、など疑問をおもちの方もいらっしゃるかもしれません。
「働き方改革」という言葉がメジャーなものとなる以前から、いわゆる終身雇用・年功序列賃金を基本とした「日本型経営」はもはや過去のものとなり、現代は、多様な働き方が存在します。また、いわゆるギグ・エコノミーの拡大による経験ある高齢者の雇用の拡大、健康寿命の延伸、社会保障の支
え手・働き手の増加などの観点からも、フリーランスに注目が集まっています。
このような状況を踏まえ、政府(内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省)は、本年 3月、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定・公表しました(以下このガイドラインを「フリーランスガイドライン」といいます)。
照明業界においても、フリーランスとして活躍されている方は多数存在しており、フリーランスをめぐる法律問題に関心をもたれている方も多いものと思われます。
今月号から、しばらくの間、フリーランスをめぐる法律問題について解説しますが、今回は、フリーランスとはどのような意味をもつ言葉なのか、フリーランスと労働者の違い、フリーランスに及びうる法的規制について、概説していきます。